
地盤改良工事の費用相場|1番安い表層改良と他の方法の違いは?

新築住宅の建築に関わる見積書には「地盤改良工事に関わる費用は別途必要」と記載されているケースが多いです。
しかし、融資や自己資金を手続・用意する関係上、事前にどれほどの費用がかかる可能性があるのか知っておく必要があります。
地盤改良工事は、土地や建築する住宅の規模によっては、100〜200万円ほど費用がかかるケースもあるため、契約前に費用相場を知っておかないと「こんなはずじゃなかった」とトラブルになるかもしれません。
この記事では「地盤改良工事の費用相場や方法」について解説していきますので、適切な費用相場を学び、トラブルや失敗なく着工まで進めていきましょう。

目次
地盤改良工事の方法別の費用相場
地盤改良工事の費用相場は、工事の方法によって異なりますので、以下の表にまとめました。
一般的な戸建て住宅の規模である「延床(のべゆか)面積30坪」を建てる場合の費用相場となります。

表層改良工法が1番費用が安く20〜50万円、鋼管杭工法が1番高く100〜130万円の費用相場です。
地盤改良工事は、土地全体に行うのではなく、建物や物置・カーポートが建つ場所で行います。
そのため、100坪の土地を購入したからといって100坪分の改良工事が必要なわけではありません。
同じ坪数の土地でも、建てる住宅の規模や地盤改良の方法によって費用が異なるため、上の表の費用相場は参考材料としてチェックしてください。
地盤改良工事の方法は4つ|表層・柱状・鋼管杭・砕石パイル
なぜ地盤改良工事の方法ごとに費用に差が出るのかという点について理解できるように、それぞれの方法の「特徴・メリット・デメリット」を解説していきます。
①表層改良工法
表層改良工法は、弱い地盤が表面から2m程度である場合に採用される方法です。
2mほどパワーショベルで掘り進め、土を一度出し、セメント系凝固材を入れた後に土を戻して地盤の弱さを補います。
メリット・デメリットは、以下の通りです。
【メリット】
・工期が短い
・費用が一番安い
・敷地が狭くても工事可能
【デメリット】
・勾配が大きい土地や地下水位が高い土地では工事できない
・仕上がりの良さは施工者の技術次第
表層改良工法は、他の地盤改良工事の方法よりも浅い地点での作業となるため、工期が短く1〜2日程度で工事が終わります。
新築住宅の建設に必要なものと同じ程度の大きさの重機での作業となるため、敷地が狭くても問題なく作業ができますが、勾配や地下水位が高い場合は採用できません。

②柱状改良工法
柱状改良工法は、地盤が2〜8m程度まで弱い場合に採用する方法で、セメント系凝固材でつくった地中の柱で建物を支える形となります。
メリット・デメリットは、以下の通りです。
【メリット】
・弱い地盤の下に強い地盤がなくても施工可能
・工期が短い
・表層改良が採用できない敷地でも選択可能
【デメリット】
・敷地が狭いと工事ができない
・地盤の原状復帰が困難
・土地売却時に「地中埋設物」として申告する必要がある
2m以上弱い地盤が続いている場合は、表層改良工法ではなく柱状改良工法が採用されます。
8m程度まで深くセメント系凝固材を入れる作業をしますが、工期は表層改良とほぼ変わらないため、全体の工期に影響はありません。
しかし、地中深くまでセメントのかたまりができるので、売却時に障害となる可能性があります。
遠い将来の話にはなりますが、現状復帰ができないマイナス面についても頭に入れて検討しましょう。

③砕石パイル工法
砕石パイル工法は、3〜4m程度まで細かく砕いた石を埋めて柱状にして、建物の基礎を支える方法です。
柱状にする点では柱状改良と同じですが、セメント系凝固材ではなく、砕いた石を使う点が異なります。
メリット・デメリットは、以下の通りです。
【メリット】
・地盤の現状復帰が可能
・セメントが固まりにくい土壌でも施工できる
【デメリット】
・強固な地盤に届かない
・施工可能な業者が限られている
セメント系凝固材を使った場合、地盤の現状復帰は難しいですが、砕石を使う方法であれば売却時に障害となりません。
「セメントのかたまりを埋めるのは抵抗がある」という場合は、砕石パイル工法を選択するのがおすすめです。
しかし、採用数が少なく施工可能な業者が限られるため、工事を行うエリアによっては採用できないか、費用が割高となるケースがあります。

④鋼管杭工法
鋼管杭工法は、細い鋼管杭を地中に埋め込んで、5〜10m程度が弱い地盤であるケースに対応する方法です。
表層改良工法や柱状改良工法よりも強度があり、一般的な戸建て住宅よりも規模が大きい建物でも採用できます。
メリット・デメリットは、以下の通りです。
【メリット】
・強度が一番ある
・10mと深い地点まで支えられる
【デメリット】
・費用が高い
・工事中の音が大きい
・弱い地盤の下に強い地盤がないと施工できない
地盤改良工事の中で強度が1番あるため、大きな建物でも支えられますが、表層改良工法と比べると80〜100万円ほど費用が高いです。
工事中の音が大きく、騒音トラブルになるリスクもあるため、採用する際は事前に近隣への挨拶を済ませる必要があります。

地盤改良工事の費用はどのタイミングでわかる?
地盤改良工事の費用は、地盤調査の後にわかります。
一般的に、請負契約を交わし、間取りが決定した後、新築住宅の建設を依頼する住宅メーカーや工務店から地盤改良工事についての見積書をいただくという流れです。
地盤調査は必ず行われるので、地盤調査にかかる費用については、住宅の見積書の中に含まれています。
地盤改良工事にかかる費用については「別途必要」など記載されていたり、別で資料をいただいたりしますので、担当者に確認しましょう。
地盤改良工事の注意点|契約前に知っておきたいポイント
地盤改良工事は、1番安い表層改良工法でも20〜50万円かかり、新築工事に必要な費用がアップしてしまいます。
そのため「予想以上に地盤改良工事の金額が高くて、新しい家具を買えなかった」など、何かを我慢する必要が出てくるかもしれません。
突然増えた出費にびっくりしないように、契約前に知っておきたいポイントをチェックしておきましょう。
注意点① 地盤改良工事が必要ない土地もある
盤改良工事は、新築住宅の建設の際に必ず行うべき工事ではなく、弱い地盤であった場合に必要なものです。
そのため、購入する土地によっては地盤改良工事が必要なく、地盤改良工事にかかる費用分をカットできます。
「(購入した土地の市区町村名 地盤調査)」で検索すると、過去の地盤調査のデータを公開している自治体であれば情報が得られるかもしれないので、確認して強い地盤の土地を購入しましょう。
注意点② 水害が多い・川が近くにある地域は地盤が弱い傾向
水害が多い地域や、川が近くにある地域は、地盤が弱い傾向にあります。
「(購入した土地の市区町村名 ハザードマップ)」で検索すると、浸水想定地域のマップが確認できるので、該当していないかチェックしてみてください。
また、不動産会社や住宅メーカーなどで「この辺の地域は地盤改良工事が多く行われている」などの情報をもっているので、購入を決める前に聞いてみるのがおすすめです。

まとめ
地盤改良工事の費用相場は方法や建てる住宅の規模によって異なります。
1番安い表層改良工法なら、30坪で20〜50万円ほどが費用相場ですが、鋼管杭工法による地盤改良工事が必要な場合100〜130万円ほど必要です。
地盤改良工事は、住宅を建てた後に安全に暮らせるように必要な工事なので、安い表層改良を必ず選択できるわけではありません。
暮らし始めた後に、地盤が沈んできたり、住宅が傾いて暮らしづらくなったりとトラブルが起きる恐れもあるため、適切な方法を選ぶ必要があります。
新築住宅を検討中であれば、地盤改良工事にかかる費用も含めて、融資や自己資金の準備を進めていきましょう。
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